早期リタイアって幸せですか?という議論が一部にあるそうです。いくつか関連する文章を拝見しました。玉石混交。まだ議論が煮詰まっていない感じがします。個別に言及は避けますが、今後も検討を続けていく価値のあるテーマかと思います。
いったん資産的に目処が立ち、実際に退職してしまうと次の関心事。日々の生活でどう喜びを幸せを感じていくか。どういう人生をこれから送れば自分はハッピーなのか、そんなことを考えるようになりました。
人生を幸せにするのは何?
そんな中でうーむと唸らされたのがこちらのTED講演です。
ハーバード大が行なった長期大規模研究、「人生を幸せにするのは何?最も長期にわたる幸福の研究から」が示唆を与えてくれます。
4代目の研究責任者 ロバート・ウォールディンガー 先生の講演なんですが、TED動画はご丁寧にも日本語の翻訳まで完備しています。ありがたい。文字で読むなら1分間、動画なら12分ほど。せっかくですからご覧いただきたい。
米国の10代の若者が老人になるまで追跡し、幸福と健康には何が必要かを調べようとしたのがこの研究です。フォロー期間長期すぎw
75年以上にわたる長期研究で示された、人生に幸福、健康をもたらす要素は何だったと思いますか?
富でも名声でも 無我夢中で働く事でもなく、「よい人間関係」こそが人生に幸せと健康をもたらす要素でした。ここで得られた3つのポイントとは。
1. よい人間関係が健康と幸福をもたらす
ここから講演の台詞の日本語訳を所々引用します。TED引用元には句読点がないため補足しています。
第一に周りとの繫がりは健康に本当に良いという事。
孤独は命取りで家族、友達、コミュニティとよく繋がっている人程、幸せで身体的に健康で、繫がりの少ない人より長生きするという事が 分かりました。孤独は害となるという研究結果が出たのです。
孤立化を甘んじて受け生活している人は、あまり幸せに感じていないのです。中年になり健康の衰えは早く、脳機能の減退も早期に始まり、孤独でない人より寿命は短くなります。
ふえええ、、
ここで重大な事は友人の数だけが ものをいうのではなく、生涯を共にする相手の有無でもないのです。
重要なのは身近な人達との関係の質なのです。争いの真っただ中で暮らすのは健康に悪い事が分かっています。
例えば愛情が薄い喧嘩の多い結婚は健康に悪影響を及ぼし、恐らく離婚より悪いでしょう。愛情のある良い関係は人を保護します。
なるほど、独居ゲイでもチャンスはあるww
2. 若い頃によい人間関係を築いていると、健康で幸せな老後を迎えられる
どの様な老年を迎えるかは、当時の人間関係の満足度で予測される事が分かりました。50才で最も幸せな人間関係にいた人が80才になっても一番健康だったのです。
親密な良い関係がクッションとなり、加齢過程での様々な問題を和らげてくれてるようです。
よい人間関係によって老化による辛さが和らげられる。俗な言い方をすればアンチエイジング効果があるってことですか。
3.よい人間関係は脳をも守ってくれる
良い関係をしっかりと80代にまで持ち続ける人はその関係に守られています。
そういう関係にいる人、何かあった時本当に頼れる人がいると感じている人の記憶ははっきりしています。
一方パートナーには 全く頼れない と感じている人には 記憶障害が早期に現れ始めます。
認知機能、ボケ防止ってやつですね。これはマジで重要な問題ですw
そして最後に
最後にマーク・トウェインの言葉を引用して終わります。(略)
「かくも短い人生に諍い、謝罪し、傷心し、責任を追及している時間などない。愛し合う為の時間しかない。それが例え一瞬にすぎなくとも」
良い人生は良い人間関係で築かれます。
ありがとうございました。
うーむ、深い。当たり前じゃね?って気もしますが、行うは難し。意識してないとつい後回しになりがち。
繰り返しになりますが、重要なのは人間関係の質。よい人間関係を築くこと。
人間関係の量、すなわち関わる人間の多さではない。
で「よい人間関係」って何よ
「よい人間関係が大事」うん、そりゃそうなんだろうけど、ちょっと漠然としているし抽象的。
どんな関係を「よい人間関係」と定義しているのか?そしてどうすればそれを手に入れることができるのか?
はい、詳しいところは原論文、または著書をご覧ください、ってことになるのでしょうが、英語を読むのは面倒だし、日本語でとなると軽くググった限りではTED講演のまとめ以外はちょっと見当たりません。
本人のインタビューに答えがw
唯一NHKのサイトにTED紹介番組?としてこのウォールディンガー先生のインタビューがありましたので紹介します。
https://www.nhk.or.jp/superpresentation/pastprogram/160512.htmlwww.nhk.or.jp
ウォールディンガー:
「他者とつながっていると感じるかどうかは、個人の主観的体験です。孤独の研究が明らかにしたのは、まさにこの点です。
人は集団生活や結婚生活の中でも孤独になりうる。つまり、社会的なつながりの数より、人間関係の中でどう感じるか、「つながっていると感じるかどうか」が重要なのです。」
「よい人間関係」とは「つながっていると感じる」「主観」で良いそうです。本人がそう感じればOK。メモメモ。まあ、定数化、定量化できるものじゃないし、主観しかないよね。
自分の思うように他人を動かそうとする人は人間関係でトラブルを抱えることが多い
よい人間関係ができる人に共通する特徴はありますか?
ウォールディンガー:
「あります。共通する特徴は「柔軟性」でしょうか。自分の思うように他人を動かそうとする人は、人間関係でトラブルを抱えることが多い。」
ですよねーー。当人も、周囲の人もトラブル、ストレスを抱えます。うん、わかりすぎる。
会社員は構造的に健康や幸福に悪影響を与えそうですw
余談:ジャパニーズサラリーマンの悲哀
冒頭TED講演のスライド「無我夢中で働くこと」のイメージ画像が日本の典型的オフィスの写真でした。漢字のポスターが貼られた深夜のオフィスでぐったりした社員たち。お気付きでしたでしょうか。
笑えますね。偶然ではなくやはり日本の文化として擦り切れるまで働く、働かされる傾向があると海外からも見られているようです。
「無我夢中で働く」のも素晴らしいことですが、その先には幸せや健康は直接結びつかないというのが今回の研究成果でした。
「よい人間関係」を築く努力を今日から
「将来の幸せや健康に、「よい人間関係」が影響する」とのことでした。はい、今から築きましょうw すでにそういう関係があるなら、維持し育てていきましょう。
それには時間や心の余裕が必要です。お金も必要だと思いますが、お金が何より最優先ではないはずです。
早期リタイアで得た時間を
私としては、早期リタイアによって確保できた時間を、家族友人との「よい人間関係」の構築に充てたいと考えています。
さて何ができるか?パッとすぐ思い浮かびませんが、考えること自体がわくわくしてきます。
というわけで、ああ、仕事を辞めてよかったw(定期)